■ FEATURE(特集)
納本制度 あなたの記録を未来へ

 毎年、年末になると雑誌や新聞などで、その年を振り返る特集が組まれ「ああ、あんなことがあったな」と過ぎた日々の出来事を思い出す。しかし、記憶は時間とともに整理されていき、すべてをとどめておくことは不可能。そこで、私たちは文字や画像などにして記録し、残す。大小、公私にかかわらず、過去の経験を未来へ生かしたいと願うからである。
 これを国として実現させるために設けられているのが「納本制度」。日本では、唯一の国立図書館「国立国会図書館」が、国民の知的活動の記録を後世に継承すべく、その役割を担っている。
 制度を規定する国立国会図書館法では、発行者が正当な理由なく納本しなかった場合には、発行者を当該書籍の小売価額(小売価額のないときはこれに相当する金額)の5倍までの過料に処するとの罰則も定められている。しかし、国立国会図書館が全国の発行者約9,000機関に対し行ったアンケート調査(2008年実施、回収率42%)では、最近1年間に納本しなかった機関は全体の3割で、そのうちの3割は「納本制度を知らなかった」と答えている。1948年に始まった納本受付から60年余り経つが、まだまだ制度そのものが浸透していないようだ。
 納本の対象は簡易なもの(1枚もののチラシ、手帳、カレンダーなど)や機密扱いのもの以外は販売目的であるかどうかにかかわらず、図書、雑誌、小冊子、教科書、新聞、楽譜、地図、自費出版本、同人誌、フリーペーパーなどがすべて該当する。身近なものでは市民団体の記念誌などもホッチキス止めなど簡易綴じでなく、ある程度まとまった部数が配布されるものは納本の対象に当てはまる。
 民間出版物の場合、発行日から30日以内に1部を国立国会図書館に納める必要があるが、一括代行機関(取次)経由以外のものは郵送または持参するのが一般的。日本の場合、納入した発行者には当該出版物の小売価格の5割を支払う代償金の制度もあるので、問い合わせてみるとよい。ほかにも寄贈することで、納めるという方法もある。
 国立国会図書館に納められたものは無期限に保管されるので、広く一般に公開することに支障がなければ、個人で出版した自分史なども納本または寄贈の手続きをしたほうがよい。あなたの知的活動記録≠ェ、自分を知らない何世代も先の子孫に役立つかも知れない。


 

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